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太陽光発電を取り入れるなら知りたい!発電の流れや電圧上昇抑制

電力会社の電気は、発電所で作られています。数十万にもおよぶ大きな電圧がかかった電気を必要な場所に効率よく送れる電圧に換えるのが、変電所です。変電所で数万ボルト単位に変圧された電気は、工場などの大規模な施設を経て変電されるたびに送電しやすい単位になり、やがて電線を通って家庭に送られます。電線内の電圧は一定の範囲に保たれ、変化しにくいのが特徴です。これを電圧上昇抑制といいますが、家庭の電圧が電線の電圧を下回った状態も指します。太陽光発電にも関係することですから、くわしく見ていきましょう。

火力発電は国内発電の大半を担っている

“日本の電気の8割以上を担っているのが、火力発電です。石油や石炭、液化天然ガス(LNG)などの燃料を燃やしてお湯を沸かしたら、その蒸気の力を利用して蒸気タービンを回転させます。これにより電気が作られるのですが、燃料として使われるエネルギー資源には限りがあるのがネックです。また、発電によって排気ガスが出るため、環境問題に悪影響がおよぶ恐れがあります。CO2排出量を抑制するための対策が進められると同時に、エネルギー資源の乏しさを補うために日本では様々な発電用燃料が組み合わされて発電されています。

日本には原子力発電所もありますが、東日本大震災以降には原子力発電所に対する懸念が高まり続けています。そこで、火力発電所の需要が急激に増加しているのが現状です。火力発電には、燃料の量を変動させることで発電量を調整できるメリットもあります。季節や時間帯で変わる電力消費に合わせて発電をおこなえることが重宝されています。”

水力発電はクリーンな発電方式として注目

“海や山に囲まれた日本ならではの土地を活かした発電方法が、水力発電です。自然の地形を活かしていることが多いため、水力発電所の多くは山間部に設置されています。代表的なのが、ダム式の発電です。ダム式の水力発電にも2種類あり、ダムで水をせき止めて作った人工湖の落差を利用する発電、ダム水路式と呼ばれるダムで貯めた水を引き込んで落差が出てくる場所でおこなう発電に分けられます。水力発電には、河から長い水路を用いて水を引き込む水路式の発電方法もあります。揚水式のように、発電所の上部と下部に設けた調整池から夜間に水を汲み上げ、昼間その水で発電する方式も効率的です。

いずれの方法でも、水力発電は再生可能なクリーンエネルギーを使った発電でベース供給力として活用されています。ただし、デメリットは開発するために環境を大きく変えなければならないことです。環境にやさしい発電方法のはずが、発電所を作るために自然環境に手を加えざるを得ない点は矛盾しているかもしれません。”

風力発電は陸海両方で発電可能

“燃料を必要とせず、自然な風の力を利用して発電できるのが風力発電の大きなメリットです。風さえ吹いていれば、夜間でも発電できます。巨大な風車部分に風を受けて回転し始めると、発電スタートです。風車の羽の部分はブレードと呼ばれ、回転が動力伝達軸を通じてナセルに伝えられます。ナセルには主に3つの機器が設置され、まず増速機がギアを使って回転数を増加。速まった回転速度によって、発電機で電気に変換しています。ナセル内にもう一つ備えられているのが、台風や点検の際にブレードの回転を止めるためのブレーキ装置です。発電が始まると、ブレードを支えているポールのような塔体を伝って塔体下にあるトランス部分で電気が変圧されます。

風力発電の導入が進んでいる国としては、スペイン、ドイツ、デンマークなどが代表的です。近年は中国でも導入が進んでいますが、風量によって発電量が影響されるため、土地によって向き不向きがハッキリしています。日本のように台風が多い国では、強風で機器がダメージを受けるリスクも高まります。ただし、風力発電は陸上型だけでなく洋上でおこなうことも可能です。海に囲まれた日本では、陸海併用で発電の可能性が広がります。”

太陽光発電はスペースを活用して効率よく発電可能

“太陽光発電は、太陽が地上に降り注ぐ光エネルギーを利用した発電です。水力発電と同じように、エネルギーを作り出すのに燃料費はかかりません。太陽電池を内蔵したソーラーパネルに太陽光が当たると発電され、接続されたパワーコンディショナーが電圧や周波数の調整をおこないます。太陽光が十分に当たる場所があれば発電可能で、スペースの有効活用ができるのも特徴です。ただし、太陽光が十分に得られないと発電できません。日中は発電可能なものの、夜間には発電できなくなるのがデメリットです。また、曇りや雨の日射量が少ない日にも発電量を望めず、日陰でソーラーパネルが遮断されてしまう場合も発電効率が低下します。

クリーンで再生可能なエネルギーの太陽光を利用した太陽光発電は、水力発電や風力発電と比べると一般家庭にも導入しやすい発電方法です。ソーラーパネルを設置する場所が必要ですが、住宅やカーポートの屋根などにも設置できることから、一般家庭への導入は増加しています。エネルギーが枯渇する心配がないことから、国内外で研究が進んでいるのも期待大です。太陽光発電に不利な条件の対策にも、新たな方法が目覚ましく開発されています。”

変電所の仕組み

“電力会社のように大規模な発電所では、数万ボルト単位の超高圧電力が作られています。あまりにも高圧なため、そのままでは電気を使うことができません。そこで登場するのが、変電所です。高圧電線を通って一度数十万ボルトの電圧に引き上げられた電気は、変電所で数万ボルト単位の電圧に下げられます。一気に電圧を下げるのではなく、いくつかの段階に分けて変電を繰り返すのです。1次変電所、2次変電所、配電用変電所と変電所を経由するごとに電圧は少しずつ下げられていきます。工場やビル、電鉄などにも配電された電気は、最終的に電柱に設置された変圧器で家庭に送られるレベルの電圧になります。家庭に配電される時点での電圧は、100ボルトや200ボルトといった単位です。

発電所で作られる電気は数万ボルトなのに、なぜ変電所に送られるまでに数十万ボルトにまで電圧が引き上げられるのかにも理由があります。電気は、電線を流れている間に抵抗を受けることからエネルギーを失っていきます。電流が大きくなるほどに抵抗も大きくなるため、発電所から離れたところまで電気を送るためには失うエネルギー量を少なくしなければなりません。電圧が高くなれば、送電する間に失われるエネルギーがあってもゼロになることはないでしょう。そのため、発電所から出された電気は一度超高圧へと引き上げられるのです。”

売電の仕組みを解説

太陽光発電を導入するメリットの一つが、売電です。電力会社から買う一方だった電気を今度は電力会社に売れるようになります。発電した電気を売るときに用いられるのは、電線です。電気には、電圧が高いところから低いところへと流れる性質があります。売電するときもこの性質が利用されるのですが、太陽光発電で発電した電気は電線を流れている電気より高圧です。そうでなければ、電線を通じて電気を電力会社に送ることができません。これを逆潮流といい、通常とは逆の流れで電気が送られることを意味しています。

電圧上昇抑制とはどんなもの?

“太陽光発電システムを導入するからには、多くの電気を作って目一杯売電したいと考えている人もいるでしょう。ところが、せっかく節電して電気が余っても、思うように売電できないことがあります。このとき、障害となっているのが電圧上昇抑制です。電圧上昇抑制は出力抑制と呼ばれることもある電力操作で、働き出すと売電が抑制されてしまいます。きっかけとなるのは、電力会社の電圧がパワーコンディショナーの出力上限値を上回ったときです。そのまま売電を強行しようとすると、自宅や隣家などの電気機器を故障させかねません。なぜなら、電柱側の電圧が上昇してしまうからです。

電線内に流れている電圧は、一定の範囲に保たれています。その範囲は、電気事業法によって決められた範囲です。家庭で導入する太陽光発電においても適用されており、電圧は100V供給の場合は101Vプラスマイナス6Vを超えない範囲にしなければなりません。といっても、電線内の電圧は変化しやすく、必ずしも100Vをキープできないこともあります。近場で多くの電力が使われるときには、電線内の電圧は下げられます。そして元の使用量に戻るときには、電圧が高めになってしまうこともあるのです。このように変動が激しくならないように、電力会社ではトランスという変圧器を用いて電圧を調整しています。電柱に取り付けられている箱のような形をしたものに覚えがないでしょうか。あれこそトランスで、電線内の電圧を30分間の平均値として95~107Vの間に保つ役割を果たしています。

住宅用の太陽光発電システムでは、電圧が101Vプラスマイナス6Vに設定されています。基本的には、この設定で電線内より高い電圧となり売電可能になるわけです。しかし電圧上昇抑制が起こってしまうのには、電気の供給量に対して消費量が少ないことが関係しているときもあります。”

電圧上昇抑制が起こりやすい状況とは

“電圧上昇抑制が起こる状況には、いくつかのケースがあります。例えば、電線内の電圧が107Vを超えて高くなっているときです。基本的には107Vを超えないはずの電線内電圧がなぜ高くなってしまうのかといえば、近隣で大量に電力が消費されていることなどが考えられます。工場などが近くにあると、稼働時には大量の電力が消費されます。このとき電線内の電圧は低くなるため、家庭からの売電も可能です。ところが、工場が稼働しないときには電力の消費量が一気に落ちて電線内の電圧が急激に上昇します。そのため、電圧上昇抑制が発生して売電できなくなるのです。

電柱から住宅への電線距離が長かったり、引込点からパワーコンディショナーまでの距離がある場合にも電圧降下が発生しやすくなります。住宅側の電圧が低くなってしまうため、売電は不可能です。対策方法はあるものの、自費で何とかしなければならなかったり電力会社に交渉する必要があるなど手間がかかります。電気事業法を守る必要もあるため、太陽光発電システムを導入する前には事情にくわしい設置業者によく相談することをおすすめします。”

電圧上昇抑制が発生しないための対策

“電圧上昇抑制は、基本的には一時的なものと考えてよいでしょう。ただし、一時的な電圧上昇抑制が頻繁に起こるのは困ります。放っておいても自然に問題が解消すればよいのですが、放ってはおけないというケースもあるでしょう。そのようなときに対策できる方法として、主に2つのケースが挙げられます。1つは、太陽光発電システムに設置したパワーコンディショナーの電圧設定値を上げる方法です。自分側でできる簡単な対策法のようですが、問題は法律で決められた範囲内までしか電圧を上げられないこと。電気事業法で、パワーコンディショナーの電圧は107V以上に設定できないことになっています。さらにリスキーなのは、家庭で100Vを上回る電気を流すと電気製品の故障につながりかねないことです。

もう一つの方法は、蓄電池を導入することです。太陽光発電に限らず発電した電気は貯めておけないのが通常ですが、蓄電池を用いれば電気を貯めておくことができます。家庭で使う電力をなるべく多く自家発電によって消費すれば、電気代を節約できるでしょう。売電しようと頑張る必要もなく、電力会社で停電になったときも安心して生活を送れます。売電で収入を得られるのは魅力ですが、思い切って発想を転換して自宅で使う分だけの発電にすればライフスタイルも変わってくるでしょう。よりエコロジーな暮らし方になり、電力会社への毎月の電気代の支払いも減って楽になるかもしれません。

電力会社に相談して電線内の電圧調整をおこなってもらったり、自宅への引込柱にトランスを新設、引込線や内線を太くするなどの対策方法もありますが、これらにかかる費用は自己負担です。まずは、自宅付近で電圧上昇抑制が発生しやすい状況にないか、確認してみることをおすすめします。”

まとめ

太陽光発電システムを導入する際には、自家発電できる以外にも電力会社に売電できることがメリットとして注目されています。売電は義務ではなく、必ずしなくてはならないわけではありませんが、売電を見込んで太陽光発電システムを導入する場合には電圧上昇抑制を無視できません。期待していたほど売電できないという場合、電圧上昇抑制の対策をするかどうかで状況が変わってきます。電圧上昇抑制の影響を受けやすい環境かどうか、あらかじめ自宅周辺の状況を把握しておくことも大切です。何も知らずに導入した後、ガッカリすることのないよう、注意しておきましょう。信頼できる太陽光発電システムの設置業者に、電圧上昇抑制について相談してみることもおすすめです。

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