住宅用太陽光発電を導入すれば、家庭でも太陽光のエネルギーを電力に当てることができます。住宅用太陽光発電を家庭に取り入れたいと考える場合、1日の発電量や季節・地域ごとの発電量、効率よく電力を生むポイントなどについて検討し、導入の可否を決めなければなりません。そこで、太陽光発電の1日の発電量などについて解説していきます。
太陽光発電の設備とは?
“太陽光発電は複数の設備からなっています。主なものは、太陽光パネル、接続箱、パワーコンディショナーです。これら一つ一つが互いに作用しあうことで太陽光発電がおこなわれています。太陽光パネルは、太陽の光エネルギーを集める役割を果たすものです。太陽光発電に必要なエネルギーを最初に蓄える重要な設備です。太陽電池とは、太陽光パネルで集められた太陽の光からエネルギーを取り込み、電気を発生させる装置です。「電池」という名がついていますが、太陽電池はそれ自体が電力を持つ設備ではありません。接続箱は、太陽電池で発生した直流電流を1本にまとめてパワーコンディショナーにつなぐ装置です。直流電流のままだと電化製品は使えないため、パワーコンディショナーで交流電流に変換して、家庭内で使えるようにします。
このほかに、住宅の配線に電気を分ける分電盤、電力会社を通して売買した電力を量る電力量計といった設備があります。”
太陽光発電で電力を作る仕組み
“太陽光発電は、水力発電や火力発電と比べて地球環境に対する影響が少ない発電方法であるといわれています。また、地球にやさしいといわれる一方で、その発電力はとても強く、仮に太陽光エネルギーを全て電力に変換できるとすると、約1時間の発電で地球上の人々が1年間の内に消費する電力を全て補えるほどです。そのような太陽光発電において電力をどのようにして作っているかというと、まず、太陽光パネルで太陽の光を集めます。そして、その光のエネルギーを太陽電池が直流電流として発電します。太陽の光が照射することにより、太陽電池内の半導体の電子が発電するわけです。
太陽電池の半導体は、プラスを帯びやすいP型シリコンとマイナスを帯びやすいN型シリコンとがくっつき合っています。これら2つの半導体が光エネルギーによってプラスとマイナスになることで電気が発生するのです。太陽電池で発生した電流は、パワーコンディショナーに送られ、交流電流に変換されます。こうして、太陽光エネルギーが当たり続けている限り電気が発生し続けることになります。そして、この交流電流が家庭にあるそれぞれの家電製品に電気を供給する仕組みになっているのです。”
発電容量の単位とは?
“太陽光発電の発電容量単位には、ワット(W)、キロワット(kW)、メガワット(MW)、キロワットアワー(kWh)などがあります。WやkWは、瞬発的に流れる電力の能力を表し、キロワットアワー(kWh)は、一定時間に流れる電気の総量を表しているのです。キロワット、メガワットと進むにつれ容量が大きくなります。たとえば、5kWの太陽光パネルをフルパワーで1時間発電させると5kWhとなります。一方で、5kWの太陽光パネルを20%の力で10時間発電させると10kWhという計算になります。
住宅用の太陽光発電では、kWが使われます。1kWは1000Wです。住宅用に使われている太陽光パネルは、1枚当たり70kW~250kWの発電能力が一般的であり、だいたい4~6kWの容量にする住宅が多いです。ちなみに、日本の平均年間発電量は1kWで約1000kWh~1200kWhとされています。また、kW数によって必要な太陽光パネルの枚数を割り出すことも可能です。たとえば、「4kWの太陽光発電」には、200Wのパネルなら20枚、250Wのパネルなら16枚が必要という計算になります。
発電容量は、太陽光パネルの値段比較の際にも役立ちます。たとえば、200Wのパネル5枚分と250Wのパネル4枚分の値段を比較してどちらを買うか検討する判断材料になるというわけです。もっとも、実際の総額はパワーコンディショナーなどの価格も合算されるため、一概に太陽光パネルの比較だけで決められるものではありませんが、太陽光発電設備の総額に占める割合は太陽光パネルが最も大きいことが多いです。よって、発電容量による太陽光パネルの比較検討は購入の際に大変役立ちます。”
太陽光発電における発電量の計算方法
“太陽光発電を導入するかどうかの検討にあたり、実際にどれくらいの発電量になるのかを自分で計算することができます。太陽光発電の年間発電量(kWh)は、年間日射量(kWh/平方メートル)×0.85で求めることができます。0.85はシステム出力係数です。システム出力係数とは、損失係数とも呼ばれ、外的要因による発電量の損失をいいます。太陽光パネルには出力数が決められていますが、これはあくまで目安であり、実際の使用においてはさまざまな外的要因によって発電量にいくらかの誤差が生じます。太陽光発電における発電量を計算するためには、この損失量についても考慮に入れなければなりません。
損失量は年度や地域によって若干の違いがあるため正確な数値を出すのは困難ですが、一般的には0.85を掛けて算出します。損失の具体的な内訳は、パワーコンディショナーでの損失が5%、熱による損失が5%、その他の要因(汚れなど)による損失が5%として計算するのが一般的です。”
住宅用太陽光発電の発電量を調べる方法
住宅用の太陽光発電では、モニターを使用してどれくらいの発電量があるか調べることができます。メーカーが提供しているモニターには、無線/有線LANでインターネット接続し遠隔出力制御にも対応しているものや、ワイヤレス通信で台座に固定したり壁掛けにしたりできるものもあります。データをグラフ化して表示してくれるモニターなら、一目で発電量が分かるので便利です。メーカーによっては、節電や省エネのポイントなどの説明が付いていることもあります。1時間ごとのデータ量をグラフで保存してくれるタイプであれば、日別や月別でデータ量を比較することも可能です。
住宅用太陽光発電の1日の発電量1:月別
“住宅用太陽光発電の1日の発電量は、日照時間などの関係で季節によって変動します。年間における1kW当たりの発電量は900~1400kWh程です。これを365日で割ると1日当たり2.5~3.8kWh/kW、1カ月あたりの総発電量は80~120kWh/kWの間になります。太陽光発電は太陽光エネルギーで電力を生みだすため、天候の傾向や日照時間の違いによって電量が多い月と少ない月が出てきます。地域によって若干差はありますが、一例を紹介すると以下の通りとなります。
1月 2.86kWh/日
2月 3.28kWh/日
3月 3.50kWh/日
4月 3.90kWh/日
5月 3.90kWh/日
6月 3.29kWh/日
7月 3.48kWh/日
8月 3.76kWh/日
9月 3.40kWh/日
10月 3.20kWh/日
11月 2.70kWh/日
12月 2.65kWh/日
一般的に最も発電量が多いのは4月と5月であり、次いで8月も発電量が多くなります。反対に、冬は太陽光の量が減るため発電量が落ち、12月が最も少なくなります。11~1月も同様に日照時間が短いため発電量が少なくなりやすいです。”
住宅用太陽光発電の1日の発電量2:季節別
“住宅用太陽光発電の1日の発電量を季節別に見ていくと、最も多いのは春になります。一般的に、暑い夏場の発電量が一番多いと思われがちですが、一概に夏のほうが多いということにはなりません。夏は気温があまりに高くなるため、高温により太陽光パネルの出力が低下することもあり、春に比べると発電量が落ちるのです。高温になると発電効率が落ちるという特性は、単結晶シリコンや多結晶シリコンなどの半導体を使っているパネルに特に見られます。
また、冬は夏に比べると発電量が落ちます。春や夏は日照時間が長いため発電量を多く得られますが、冬は日照時間が短くなるためです。住宅用太陽光発電の冬の稼働時間は平均して朝の7時から夕方5時頃までになります。”
住宅用太陽光発電の1日の発電量3:天候別
“住宅用太陽光発電の1日の発電量は、天候によっても異なります。太陽光を取り入れる仕組みのため、直射日光の当たる晴れの日は発電量が多くなりやすいのです。また、晴れの日は正午が最も発電量が多くなります。曇りの日は太陽光が散乱して降り注ぐため、晴天時の半分程度の発電量になります。雨や雪の日は雲の量が多く日光が遮られるため、ほとんど発電しません。晴天時の十分の一以下の発電量しか得られない場合もあります。
快晴の日を上手く利用して発電量を多くできれば効率的ですが、天候ばかりは思うようにいきません。そこで、晴れの日に発電した余剰分の電力を蓄電したり、売電したりするシステムを組み合わせると良いでしょう。蓄電は蓄電池を設置しなければできませんが、太陽光発電導入の際にセットで注文することもできます。”
住宅用太陽光発電の1日の発電量4:地域別
“住宅用太陽発電は太陽光の量に頼るため、地域によっても発電量に差があります。日射量の多い地域が太陽光発電に向いていますが、日射量の少ない地域であっても太陽光パネルの設置角度を工夫するなどによって十分発電量を得ることが可能です。日本の地域で特に発電量が多いのは、山梨県や長野県などで、以下に徳島県、静岡県、群馬県などが続きます。反対に、発電量が最も少ないのは青森県や秋田県などです。このことからも分かるように、内陸部のほうが発電量は多い傾向にあり、日射量の少ない東北地方は発電量も少ない傾向にあります。
2013年から2014年における平均発電量(kWh)の県別全国平均が1,234 kWhのところ、発電量の多い山梨県は1436 kWh、発電量の少ない秋田県は902 kWhです。また、平均稼働率は全国平均が14.09%であるところ、山梨県は16.39%、秋田県は10.30%となっています。東北地方が発電量は少ない傾向にあるものの、一概に南に行くほど発電量が多いとはいえません。たとえば、長野県のデータを見ると、九州地方や沖縄県よりも発電量が多く日本で2番目となっています。これは、長野県が標高の高い地域であること、年間の降水量が少ないこと、夏にそれほど気温が上昇しないためパネルの熱刺激による発電量損失が少ないことなどの要因が組み合わさることにより、多くの発電量を生み出しているのです。
また、北海道は日本の最北端に位置していますが、土地が広大であることから場所によっては太陽光発電に適した地域もあります。北海道以外でも、全体的な発電量は下位であっても部分的には太陽光発電に向いている地域も存在します。検討している地域の発電量を計算するなどして、適した地域かどうか調べるのが得策でしょう。”
1日の発電量の推移
“発電量は1日の中でも推移します。日本の平均年間日照時間は約1897時間で、1日当たりの日照時間は約5.2時間です。さらに、この中で太陽光発電として取り入れられる有効日射時間は平均2.6時間~4時間となります。太陽光パネルの発電量は、平均有効日射時間の中央値である3.3時間を使って計算が可能です。発電量は、朝5時頃から正午頃にかけて上昇し、夜になるまでに下降していく傾向にあります。晴れの日の場合、最も発電量が多くなるのは直射日光が強くなる11時~13時頃です。具体的には、12時~午後3時までで約40%、12時~午後5時までで約60%発電しています。
もっとも、晴れの日でも正午をピークに午後は発電量が急落する場合もあります。これは、太陽光パネルが過度な熱を持ったことによりダメージを受け、出力が低下しているためです。夏の酷暑の日などは注意が必要ですが、頻繁に起こるものでもないので特別心配する必要はないでしょう。もし、どうしても熱によるダメージが気になるという場合は、冷水でパネルを冷やすことで改善が期待できます。水道水をかけた後は、カルキ汚れが残らないよう良く拭き取っておきましょう。”
効率的に発電させるポイント1:太陽光パネルの向き
“住宅用太陽光発電においては、工夫次第で効率的に発電させることが可能です。効率的な発電のポイントとして、まず、太陽光パネルの向きを工夫することが挙げられます。発電量を上げるためには、なるべく多くの太陽光をパネルに当てる必要があります。より多くの太陽光を取り込むのに適している方角は真南です。もし、屋根の向きなどの関係で南向きに設置するのが難しい場合は朝日と夕日が当たる東西が良いでしょう。その場合でも、なるべく南側に寄せて設置したほうが効率的な発電が期待できます。反対に、北寄りにパネルを設置しまうと取り入れられる太陽光が減ってしまうので気を付けましょう。
また、真南に設置するのが難しい場合、東西2面に設置する方法もあります。こちらのほうが、昼間のピーク時の発電量を抑え、朝と夕方の発電量を多くしやすくなるので効率的になる場合があるのです。自宅の時間別の電気使用量をふまえ、適切な設置方角を検討すると良いでしょう。”
効率的に発電させるポイント2:入射角を意識する
“太陽光発電を効率的に発電させるために太陽光パネルの向きを工夫したら、次は太陽光の入射角を意識しましょう。入射角とは、太陽光パネルに対して直射日光が当たる角度をいいます。日光をできるだけ直角に受けることができれば、より多くの電力を発生させることができるため、入射角が大切なのです。日射量が少ない地域でも、入射角を意識して設置すれば発電効率を上げることができます。一般的に、日本では南向きで傾斜30度にすると良いとされています。もともとの屋根の傾斜角度の都合で30度にできない場合は、地上設置や陸屋根設置にすると土台を置くことができるため角度をつけることが可能です。
もっとも、30度というのはあくまで一般的な角度であり、採光に適した角度は季節や地域、方位によって若干異なります。設置を検討している地域に最適な角度や、季節ごとに適した角度をあらかじめ調査することが必要です。導入したい地域の最適設置角度を調べたい場合は、経済産業省所管の独立行政法人NEDOの情報が役立ちます。NEDOでは、国内837地点の日射量のデータベースを約30年間分保有・公開しています。該当地域で最も多く太陽光を得られる角度を実測値を使い高精度で予測してくれるので、年間だけでなく、季節別や月別の最適設置角度を調べることが可能です。”
効率的に発電させた電気はぜひ蓄電を
“工夫してパネルを設置し、定期的な掃除やメンテナンスによって効率的に発電させた電気は蓄電することが可能です。住宅用発電をした際、あまりに電圧が高くなりすぎると、電気が電線側に流れ込むことがあります。そうすると、電線側の電圧を抑えようと電圧抑制が起こるため、せっかく余剰電力を売電していても損が出てしまうのです。そこで、余剰電力を蓄電池で貯めておき、電気をムダにせず活用するようにしましょう。蓄電池のある設備内容で販売しているメーカーを検討するのが得策です。
蓄電池とは、電気を貯める役割を持つ設備です。住宅用太陽光発電で使われる蓄電池は家庭用に小型化されています。蓄電池にも種類があり、主にリチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池、NAS電池の4つが使われています。太陽光発電で使用される蓄電池で最も多いのがリチウムイオン電池です。太陽光発電以外にも、パソコンやスマートフォンなどにも使われています。リチウムイオン電池は、蓄電効率が高く、電池の容量や使用状況を確認しやすいことから広く利用されています。
ニッケル水素電池は、オキシ水酸化ニッケル、水素吸蔵合金、アルカリ水溶液を使った電池です。過充電や過放電に強いという特徴を持ち、長時間使用に耐える蓄電池として使用されています。鉛蓄電池は、自転車のバッテリーなど身近な物に使用されており、蓄電池の中では古くから使われてきました。蓄電池としての歴史があること、安価で利用できることから広く使われています。充電や放電を繰り返すとエネルギー効率が下がりやすい点に注意を要しますが、過充電などを避けることで長く使用可能です。
NAS電池は、充放電性能に優れており、エネルギー効率が高いことが特徴です。もっとも、硫黄など危険物が使われているため管理については慎重にならなければなりません。このように、蓄電池はそれぞれが特徴を持ち、家庭用、工業用などで使い分けられています。住宅用太陽電池ではリチウムイオン電池が無難でしょう。蓄電池で電気を貯めておけば、災害時の停電などに役立ちます。たとえば、蓄電池で7.2kwhの容量があれば、冷蔵庫などの家電製品を最大約12時間稼働させることが可能です。巨大な地震や水害、台風被害はいつ襲ってくるかわかりません。太陽光発電で生じた電気を日頃から貯めておくようにすれば、緊急時も電力を失わずに済むのです。
また、蓄電池を使えば電気代の安い深夜帯に電気を貯め、その電気で日中の電力を補い、余った電気を売電に回すことができます。この方法をとれば、売電による収入が得られ、かつ節電にもなり一石二鳥です。”
まとめ
“太陽光発電は、工夫次第で効率良く電力を生み出すことができ、節電にもなるメリットがあります。しかし、知識のない状態で太陽光発電を取り入れてしまうと、メリットにつながる使い方が分からず損になりかねません。また、素人知識で掃除やメンテナンスをすると思わぬ故障の原因を生む場合もあるでしょう。そこで、発電量を上げ効率よく太陽光発電を利用するならその道のプロに相談するのが得策です。
工事の実績が豊富なヒラソルであれば、太陽光発電に関する知識豊富な業者に相談できます。また、各地に営業所を設置する形ではなく、名古屋本社に営業拠点を集中させているため営業所運営にかかる経費を抑えています。よって、質のよいサービスをなるべく安価で提供できるのです。
実績豊富なプロの専門業者に相談することで、太陽光発電をお得に利用しましょう”
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