環境のためにも、家計削減のためにも、太陽光発電ができるソーラーパネルの設置を検討している人が多いのではないでしょうか?メリットもデメリットもある太陽光発電は、ソーラーパネルの設置前に知っておきたいことがいくつかあります。発電の仕組みや発電量、設置の流れや注意点などについて紹介しますので、参考にしてみてください。補助金制度についても、要チェックです。
ソーラーパネルを設置するメリット
“ソーラーパネルを設置すると、太陽光によって自家発電が可能になります。かつての日本では、エネルギーを石油や石炭に頼っていました。しかし、1970年代初頭に大きな打撃となったのがオイルショックです。省エネへの取り組みが始まったのもこの頃で、国内でのエネルギー自給率を高めるために太陽光発電の技術開発も盛んになっています。自家発電ができれば、輸入エネルギーに頼りきる必要はありません。しかも、自宅で発電できれば、電力会社から電気を買わなくてもよくなります。全ての電気を太陽光発電でまかなうとまではいかなくても、電気代を節約できるのは確かです。
太陽光発電によって発電した電気は、自分達で使っても余ることがあります。そんなときは、余った分の電気を電力会社に売電可能です。また、蓄電しておけば停電時にも電気が使えます。地震などの自然災害が起きたときに、ライフラインの一つである電気が断たれてしまうと生活に大きな支障が出るものです。地域の電力が復旧するまでだけでも、自家発電した分の蓄電があるとライフラインを保てるでしょう。なお、環境に優しいのも太陽光発電のメリットです。太陽光からはCO2を排出せず発電できるうえに、再生可能エネルギーというメリットもあります。限りある資源の減少を防ぎ、自然環境を破壊するリスクがないのも、太陽光をソーラーパネルで受け止める発電方法ならではのメリットです。”
ソーラーパネルを設置するデメリット
“メリットがある一方で、ソーラーパネルの設置にはデメリットもあります。デメリットというよりは、対策があるリスクといってもよいでしょう。例えば、設置費用が高額になることは否めません。相場価格は5.00kwの設置容量で約160万円かかると知ったら、無理だとあきらめてしまう人もいるでしょう。しかし実は約10年前に比べると、設置費用の相場が60万円弱も低くなっている点に注目です。補助金制度も充実してきて、ソーラーパネルの設置費用の補助を受けることもできます。ソーラーパネルを設置できなければ話が始まらないため、まずは設置費用をサポートしてくれる補助金制度があることは知っておきましょう。
ソーラーパネルを設置したら、定期的なメンテナンスが必要です。特に、ある程度の期間が過ぎたら交換が必要になるのがパワーコンディショナーです。電気を変換する機能を持つパワーコンディショナーは、10~15年程度が平均的な寿命です。長くもっても20年以内には交換が必要になると思っておくと、急な故障などに慌てずに済むでしょう。もちろん、メーカーの保証期間内であれば費用はかかりません。突然の故障に困らないように、数年に一度程度の定期点検をしておくことも役立ちます。メンテナンス費用をデメリットと感じるかもしれませんが、故障して太陽光発電できなくなるよりはしっかりメンテナンスをしておいたほうが安心です。
ソーラーパネルを設置する際、屋根に穴を開けることで雨漏りのリスクが出てくることがあります。しかしこれは、設置業者の仕事の丁寧さや技術次第です。業者選びを間違えなければ、雨漏りのリスクは防げます。ソーラーパネルが重くて屋根に負担がかかるのではないかという心配も、一般社団法人太陽光発電協会によってほとんどの場合が問題なしと発表されています。屋根の補強などが必要な場合は、事前にきちんと案内してくれる業者を選びましょう。さらに心配されているデメリットとして、急に売電不可になるのではないかという問題があります。しかし、10kw未満の住宅用太陽光発電から作られた電気は、固定の単価で10年間電力会社が買い取るように法律で定められています。この点は、心配ありません。
最後に挙げるデメリットは、近隣とのトラブルリスクです。ソーラーパネルを設置したことで近隣から反射光がまぶしいとの苦情が入らないかという問題ですが、これは設置面の計画で防げます。リスク回避の対応策を持っている業者を選べば、問題ないでしょう。”
ソーラーパネルで発電する仕組みって?
ソーラーパネルを設置すると、太陽光のエネルギーによって発電が可能です。ただ、家庭用の電気として使うためには電気の変換が必要になります。電気の変換をおこなう機器が、パワーコンディショナーです。また、ソーラーパネルを設置したら、太陽光発電システムが電力会社と配線されます。これにより、家庭で消費しても余った分の電気は電力会社への逆流によって売電できるのです。ただし、家庭用のソーラーパネルのみで、家で使う全ての電力をまかなえるとは限りません。特に日照時間が少ないときなどは、発電量も少なくなってしまいます。そこで必要になるのが、電力会社からの電力供給です。ソーラーパネルを設置すると、電気を売ることも買うこともできるようになります。
ソーラーパネルの設置で期待できる発電量
ソーラーパネルを設置しても、どのくらい発電できるのか気になるでしょう。ポイントは、ソーラーパネルの機種や地域、日照条件です。例えば、大阪で南向きにソーラーパネルを設置したとします。すると、年間の発電量として4,1577kWhが予測できます。ソーラーパネルを設置するときには、年間消費電力の70~90%を発電できると安心です。機種を選ぶときには、これを条件の一つにするとよいでしょう。家族4人の一般家庭で消費される平均的な電力量は、4,482kWhです。一年に4,157kWh発電できれば、90%程度の電力をまかなえると予測できます。
売電価格はいくらになる?
“太陽光発電をすると、家庭で電力を消費しても電気が余ることがあります。そんなとき、電力会社に電気を売れる仕組みが売電です。売電価格には、2011年4月から定められている価格があります。1kWhあたり、38円です。各家庭によって消費電力が異なるため、余る電力量も違ってくるでしょう。それでも、10年間で106万円ほどの売電が可能だと見込まれています。ただし、売電価格は引き下げられる可能性もあります。売電価格を確保するには、国が制定している固定価格買取制度を利用することが必要です。経済産業省と電力会社の両方に申請する必要があり、審査期間が長めにかかることを考慮しておかなければなりません。
2018年度の住宅用10kW未満売電価格は、出力制御対応機器の設置義務なしで1kWhあたり26円です。出力制御対応機器の設置義務ありの場合は1kWhあたり28円で、年々減少していく予測がされています。高い価格で売電したければ、売電価格が高いうちにソーラーパネルを設置することをおすすめします。”
ソーラーパネルの設置の流れ
“ソーラーパネルを設置するまでには、一定の流れがあります。業者に依頼すれば翌日には設置してもらえるというものでもないため、設置の流れを知ることで計画的に準備をしましょう。大まかな流れは、7段階くらいに分けられます。販売店や施工業者に相談して調査依頼をしてもらうのが第1段階です。業者から提案や見積もりが出されるのが第2段階、申し込みが第3段階となります。第4段階で設計や計画の提案となり、第5段階では発注に入ります。第6段階でいよいよ施工が始まり、第7段階で竣工検査と引き渡しがおこなわれるという流れです。
販売店や施工業者にソーラーパネル設置の相談をすると、パネルの設置が可能かどうかの調査がおこなわれます。もちろん調査も依頼次第ですが、ソーラーパネルの設置が可能となれば提案や見積もりが業者から出されます。業者の見積もりに反映されているのは、日射量の予測や屋根の方位などを調べた結果です。屋根の形状や屋根材も、見積もりに関係してきます。屋根の形状には切妻や寄棟、片流れ、入母屋、陸屋根などがありますが、自宅の設計図面を用意しておくと業者も仕事がはかどり間違いが起こる心配がないでしょう。
見積書では、細かい内訳が記されているかどうかチェックしてください。機材費も工事費も、それぞれ何にいくらの費用がかかるか見ておくべきです。機材費なら、太陽電池モジュールや架台、パワーコンディショナー、アレイケーブルなどの価格や数量、メーカーについても確認しておきましょう。工事費も、電気配線工事・架台設置工事・パワーコンディショナー設置工事などが別々に料金明記されているかが重要です。ソーラーパネルの設置を決めたら、申し込みとなります。その後、業者から具体的な設計・計画について提案があります。納得がいく内容なら、発注してOKです。通常は、1~3日程度の施工期間で設置が完了します。竣工検査が済んだら引き渡しとなり、後は定期メンテナンスなどのアフターサービスを受ければ問題ありません。”
ソーラーパネル設置で利用できる補助金制度とは?
“ソーラーパネルの設置には、かつて国からの補助金制度がありました。2012年度には1kWあたり30,000円、2013年度には1kWあたり20,000円といった補助金を受けられたのですが、2018年度時点では国からの補助金制度は廃止されています。ただし、国からの補助金制度が廃止されたからといって、ソーラーパネルの設置が損になるとは限りません。というのも、国の補助金制度を利用した場合、その代わりとして売電価格が安くなるという条件があったのです。その条件が取り払われるメリットがある他、地方自治体による補助金制度は継続している地域があります。条件や補助金額こそ違うとはいえ、補助金制度を利用できる可能性が残っている点は理解しておきましょう。
地方自治体によっては、蓄電池導入に対する補助金制度を設定していることもあります。蓄電池で電気を貯めておくことができれば、電力会社からの買電量を減らせるでしょう。自治体としても、電力会社だけに電力を依存せずに済むというメリットが出てきます。まずは、居住する地域の自治体でソーラーパネル設置の補助金制度をおこなっているかどうか調べてみてください。”
ソーラーパネルの設置にかかる費用
“ソーラーパネルの設置費用は、主に必要な機材と工事費用に分けられます。機材にも太陽電池モジュールを取り付ける架台や電気の変換機であるパワーコンディショナーなどがありますが、工事にも細かな工程があります。設置費用の相場は180~240万円程度ですが、見積書を受け取ったら細かい部分までチェックしてみるようにしましょう。機材費や工事費と大まかに括られている費用では、内訳があいまいです。どの機器にいくらかかるのか、どの工事の見積もりがいくらなのかをハッキリさせておくことをおすすめします。
ソーラーパネルの本体価格は、パネルの種類やメーカー、設置容量によっても違ってきます。住宅用のシステム費用の目安は、2018年度時点で1kWあたり32.3万円ほどとされています。10kWの住宅なら、約320万円という計算です。”
ソーラーパネルの設置上の注意点
“ソーラーパネルの設置を検討したとき、注意しておきたいのは屋根の形状です。屋根によっては、ソーラーパネルを設置できません。例えば、金属の薄板をプレスして瓦型にした屋根である金属瓦屋根はソーラーパネルの設置不可能です。理由は、金属瓦が柔らかいため。ソーラーパネルの設置架台を取り付けた時点で瓦がつぶれてしまうため、パネルを固定できません。無理やり設置しても、雨漏りの原因になるリスクが出てきます。カバー工法とも呼ばれている二重張り屋根は、既存の屋根に新たな屋根材を乗せたスタイルの屋根です。リフォームの際に用いられることが多く、この屋根にソーラーパネルを設置できないのは屋根がぶ厚いためです。パネルを固定するには架台のビスの長さが足りないため、ソーラーパネルは設置できません。
陸屋根は、絶対にソーラーパネルを設置できないとも限りません。ただし、設置する場合には雨漏りを防ぐために全面防水工事が必要になります。また、風を受けやすいことから設置ベースを強力に補強しなければならず、費用が余計にかかる恐れがあります。”
まとめ
ソーラーパネルの設置には、メリットもデメリットもあることがおわかりいただけたでしょうか。ただ、デメリットばかりを懸念してソーラーパネルの設置をあきらめてしまうのは惜しい話です。電気代の節約や余剰電気の売電などのプラス面を考えれば、ソーラーパネルの設置を検討する価値は大いにあるのではないでしょうか。デメリットも理解しながら、前向きに検討してみることをおすすめします。まずは、実績が高く評判の良い業者に相談してみませんか?
他にも読まれている記事