近年注目されている「光熱費0円住宅」ですが、なんといっても太陽光発電の普及が「光熱費0円住宅」の施策を後押ししていると言っても過言ではありません。しかし、いざ太陽光発電を検討しようとしても、聞き慣れない専門用語が出てきてチラシを読んでも今一つ理解できなかったことってありませんでしたか?太陽光発電の単位には、セル・モジュール・アレイとありますが、特に「アレイ」という単位はメディアでも取り上げられることは多くありません。そこで今回は「アレイ」という単位の意味や特徴を解説していきます。
アレイの特徴って?モジュールやセルとの違いは?
“太陽光発電を設置しようとして調べものをしたり、資料を読み込んでいると「アレイ」という聞き慣れない言葉が登場します。この言葉は日常的に使用するものではありませんし、知らないくらいが普通かもしれません。「アレイ」とは太陽光発電を設置するためには欠かすことのできない単位となります。ここでは、太陽光発電を設置する時に使用されるセル・モジュール・アレイ、それぞれの単位を詳しく解説します。
まず「セル」という単位は、太陽電池の基本単位のことです。太陽光発電のパネルを見ると格子状になっていますが、その小さな格子1つが「セル」となります。日本市場で実績の高い結晶系のパネルだと、0.2~0.4mm程度のシリコン板ウエハーにPN結合して電極を付けたものを指します。続いて「モジュール」とは、セルを必要枚数接続して、ずっと屋外で使用できるように強化ガラス・樹脂・フィルムなどで覆った後にアルミ枠で強化・固定したものとなります。そして「アレイ」とは、屋根にパネルを設置する時は、必ず架台に取り付けて設置しますが、その架台にモジュール化した太陽光パネルを取り付けたものとなります。
太陽光発電の基本単位で結合していない状態をセル、外で使用できる状態にしたものをモジュール、屋根への取り付ける状態にしたものをアレイと呼びます。”
太陽電池アレイが発揮できる発電量
“一般住宅の屋根に太陽光パネルを取り付ける場合、屋根の形や形状によって通常はモジュールを組み合わせることになります。よって同じ単位として用いられる「アレイ」でも各家庭によって大きさは違う、ということは覚えておいてください。繰り返しになりますが「アレイ」とは、複数のモジュールを架台に取り付けた状態のことです。
屋根にたった1枚のモジュールを1アレイとして設置しても、発電量は期待できません。発電量を確保するためにも複数のモジュールを結合させてアレイを完成させるのです。そうすると次は1アレイでどのくらいの発電量が見込めるのかということですが、1枚あたり150wの出力のあるモジュールを20枚設置して1つのアレイを作ると、その1つのアレイから得られる出力は、150w×20枚=3000w(3kw)という計算になります。”
太陽電池アレイの役割とは?
“太陽光発電で十分な発電量を考えているのであれば、1つのアレイが最大値近くまで出力することが必要になってきます。モジュール化したパネルでは十分な発電量は得られないため、架台に複数のモジュールを直列もしくは並列接続して発電量を確保することが、太陽電池アレイの大きな役割なのです。
それではどのようにすれば、設置したアレイが十分な発電量を得られるのでしょうか。発電量の確保には、アレイが設置されている向きも考えていく必要があります。太陽光発電のエネルギー源はその名の通り「太陽光」ですが、設置したアレイに太陽光が当たらなければ意味がありません。太陽は、みなさまご存知の通り東から昇り、南を通って西に沈みます。太陽の動きを無視して北側に向けてアレイを設置しても十分な発電量は見込めません。
また1日の中で発電量が1番多くなる時間帯は、晴天の場合午前11時から午後1時ごろとなります。これは入射角によって発電量が変わるからです。太陽光がパネル本体に垂直に入射するときにセルの出力が最大になり、逆に太陽光が水平方向からパネル本体に入射するときはセルの出力が最低になるためです。よってアレイを設置する時は、設置する方角と角度が非常に需要なポイントとなってきます。
各家庭で太陽光発電導入を考えた時、全ての住宅が太陽光発電に向いている南に屋根が向いている家ばかりではないので、導入を諦めてしまった方もおられるのではないでしょうか。そのような時は設置するアレイが太陽光の当たりやすい南を向くように調整することで解決します。技術の進歩で、アレイを設置した際に前後・左右に傾きを自在に調整できるようになりました。しかも、太陽の動きにあわせてアレイが垂直に当たるように自動で動いてくれる架台も発売されています。このような技術革新により、屋根以外にもいままでは設置困難だった複雑な地形にも配置できるようになりました。”
システム変換効率とアレイの関係性
“アレイの向きなどを考慮して発電量を確保した次は、システム変換効率も意識しましょう。システム変換効率とは取り入れた太陽光エネルギーを使用できる電気に変換する際の効率のことで、このシステム変換効率が高ければ高いほどムダのない発電ができている、ということになります。計算式は簡単でシステム変換効率の求め方は、出力ワット数(w)÷太陽光エネルギー(w)×100という計算式になり、例えば150wに太陽光エネルギーが取り入れられて15wの電力が得られるとなったとすれば、システム変換効率は10%となります。
またシステム発電効率は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するときの割合を表しますが、太陽光発電においてこの値を求めるには、アレイの設置面積や発電効率が大きく関わってきます。システム発電効率を求めるには、平均アレイ効率が必要になってくるからです。平均アレイ効率は、実際の日射量から太陽光エネルギーからアレイが出力する直流電力を対象とした発電効率のことです。簡単にいえば、アレイの設置面積や性能でどれだけの電力が得られるかが変わってくるということなのです。”
アレイを意識した太陽光発電選び
“しっかりとした発電量を見込むためには、アレイをしっかりと意識して設置しなければなりません。セルの性能の高いモジュールを選ぶことはもちろんですが、発電量は設置方法で大きく異なってきます。今から太陽光発電を設置しようと考えられているなら、できるだけ太陽光エネルギーが当たり出力を得られやすくするために、架台選びに力を入れてみましょう。まず太陽光パネルは一般的に何十枚も屋根に設置することになりますので、できるだけ軽量化された架台を選びましょう。太陽光パネルは1平方メートルで重さが12~16キロとなり、平均的な4kw程度の太陽光発電システムを組むと240~470キロといった重さが屋根に乗ることになります。そこに架台の重さも乗りますので、少しでも軽量化された架台を選びたいものです。
また、太陽光をしっかりと受け止められるように、前後・左右に角度を調整できる架台や太陽を自動追尾してくれる架台も見逃せません。設置ひとつにも様々な問題をクリアしなければならないので、設置する時は、ヒラソルなど施工実績豊富な会社からアドバイスをもらった方が間違いはおきないでしょう。しかし、重量が気になるからといって、ほんの少しだけの太陽光発電パネルの設置になってしまうと、十分な発電量は得られず太陽光発電システムを取り入れた意味がなくなってしまうので、発電量は十分に確保した上で設置の問題を解決していきましょう。屋根の形状や、屋根自体の面積で十分なアレイ面積が得られない時は、発電効率の高いアレイを検討することも必要です。”
まとめ
いかがだったでしょうか。せっかく太陽光発電を取り入れるなら、光熱費のかからないくらいの発電量を見込める太陽光発電システムを設置したいものです。しかし、単位を間違えて認識してしまうと、自分が考えていたアレイの面積にならなかったり、発電量が見込めなかったりしますので、しっかりと単位を覚え、発電効率も考えてアレイや架台を選ぶようにしましょう。
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