24時間いつでも温かいお湯がでる電気温水器は、いまや生活の必需品です。ただ、このような機器を導入する場合、電気代がどのくらいかかるのか気になるところです。ここでは、電気温水器の種類や設置にかかる費用、電気代などを詳しく解説していきます。注目されているエコキュートとの違いについても簡単にご紹介しましょう。
電気温水器って何?
“電気温水器は、電気の力を利用してお湯を沸かす機器です。給湯器にはガスや灯油でお湯を沸かすタイプもありますが、電気温水器はこの手の給湯器よりも電気代が安く済むと言われています。電気温水器の場合、単価が安い深夜電力を利用してお湯を沸かすため、電力の消費量が多くても電気代が抑えられます。台所や洗面所など、家庭のさまざまな場所の給湯に使えるのが電気温水器の特徴ですが、とくに活躍してくれるのがお風呂です。4人家族が1日にお風呂で使用するお湯の量は、500リットルを超えるというデータがあり、お風呂場ではほかの場所よりも大量のお湯を使うことが多いです。
湯量が足りなくなったときにお湯を足したりシャワーを使ったりすると、少人数の家庭でも思いのほかお湯の使用量が多くなっていることがあります。一定の温度に設定したお湯を必要なだけ使えるところは、電気温水器のメリットです。”
電気温水器の仕組みとは?
“電気温水器は、電気ヒーターでお湯を沸かし、お湯をタンクの中にためておく仕組みです。ヒーターの熱で暖められた水は、少しずつ温度が上がりお湯に変わります。電気温水器のタンクにはこのような仕組みで作られたお湯が大量にたまっており、蛇口をひねればすぐに給湯が開始されます。貯めておいたお湯を24時間いつでも使える便利さがあるのが、この電気温水器の特徴です。ガスや灯油を使用する給湯器は燃焼で生じた熱でお湯を作りますが、電気温水器は基本的に火を使いません。
そのため、煙や炎がでず、火災につながるリスクも低くなります。ガス給湯器の場合、不完全燃焼によるガストラブルが起こることがあります。電気温水器は、このような心配も不要です。機器の管理が楽で一般の家庭でも安心して使えるのが、電気温水器の人気の一因になっています。また、電気を使用するこの給湯器は、運転中の音も静かです。ガス給湯器などにありがちな燃焼音がしないため、機器を外に設置しても騒音が生じることはありません。排気ガスがでない電気温水器は、環境に負荷を与えないクリーンな給湯器としても注目されています。”
【電気温水器の種類1】フルオートタイプ
“電気温水器でもとくに機能が充実しているのが、フルオートタイプです。フルオートタイプは、ボタン一つでお湯張りや追いだき、お湯足しができる高機能な電気温水器です。フルオート機能が付いている場合、機器が自動でお湯の状態を感知して追いだきなどをしてくれます。その都度手動で操作する手間が省ける点は、フルオートタイプの大きなメリットと言えるでしょう。機器によっては、配管を自動で洗浄してくれたり、省エネモードでお湯を保温してくれたりする場合もあります。人間に代わっていろいろな作業をしてくれる点は、このタイプならではの魅力です。
フルオートタイプのように機器が自動的に判断して作動するタイプは、運転が機械的に行われるので電気代がかかりやすいのが難点と言えます。必要がないときでも機器の判断で運転が開始されてしまうため、ときに無駄な電気代が発生することもあります。学習機能がついている製品だと、とくにこのようなトラブルが発生する可能性があるでしょう。家庭の都合に合わせて、「不要な機能をオフにする」などの工夫をするのがフルオートタイプを賢く利用するコツと言えます。”
【電気温水器の種類2】セミオートタイプ
“フルオートタイプよりも機能がシンプルなのが、セミオートタイプです。セミオートタイプも、ボタンを操作するだけでお湯張りや足し湯などが可能です。ただ、このタイプの場合、操作は基本的に人間が行います。フルオートタイプは、お湯の量が足りなくなると自動的に給湯が開始されますが、セミオートタイプはその都度人間がボタンを押して機器を操作する必要があります。自動の足し湯や追いだき機能などは付いていないことが多く、フルオートタイプのように操作を機器に完全に任せられないのがデメリットです。
ただ、セミオートタイプは必要に応じて人間が機能をコントロールできるというメリットがあります。電気代を節約したいときには、こういった特徴が予想以上に役立ってくれるかもしれません。”
【電気温水器の種類3】給湯専用タイプ
“給湯専用タイプは、その名の通り給湯のみを行うシンプルなタイプです。このタイプも、ほかの電気温水器と給湯の基本的な仕組みは同じです。蛇口をひねることですぐにお湯が出るため、給湯器としての機能だけで十分なときにはとくに不便を感じることはないでしょう。ただ、給湯専用タイプは、フルオートタイプのような自動でお湯張りや足し湯をする機能はついていません。お湯を使いたいときには蛇口をあけて給水する必要があり、給湯に少し手間がかかります。
また、セミオートタイプと同様に追いだき機能が付いていないことから、浴槽のお湯が冷めてしまったときには再び給湯をし直す必要があります。給湯専用タイプは185リットル前後の製品も多く、少人数の家庭でも使いやすい製品がそろっているのが特徴です。”
電気温水器の設置にかかる費用や場所
“電気温水器の設置費用は、工事を依頼する業者や製品の機種によって大きく異なります。電気温水器は、安い機種であれば5万円程度の工事費用で設置ができますが、高い機種を導入すると20万円以上かかるケースも少なくありません。ちなみに、フルオートタイプなどの機能が高い機種は、一般的に製品の販売価格が高くなる傾向があります。実際、有名メーカーのフルオートタイプの製品には、40万円以上の価格で販売されているものも見られます。このような機器を導入するときには、設置の費用も高くなる可能性があるでしょう。
機器を設置するときには、販売店や専門業者に工事をしてもらうのが一般的です。割引料金で工事を行う業者もいるため、同じ製品を導入する場合でも費用には幅がでるのが現実です。電気温水器は、屋内もしくは屋外に設置します。屋内外兼用の製品であれば、基本的にどちらでも設置は可能です。ただ、電気温水器の機器は2メートル前後の高さがあることが多く、家庭の機器としては大型です。また、水を貯めて暖める電気温水器の場合は、タンクの重量に耐えられるかどうかも重要なポイントになってきます。
不安定な場所や地盤が弱い場所に機器を置くとトラブルが生じることがあるため、重いタンクを置いても問題がないかどうかを事前にしっかりとチェックしなければなりません。条件を満たしていないときには、設置前に補強工事などが必要になるケースもあります。”
電気温水器にかかる電気代は?
“電気温水器の使用中にどのくらいの電気代がかかるかは、機種によって違います。例えば、消費電力が5400kWの電気温水器を1日2時間使用した場合、電気代は130円程度です。この場合の1カ月の電気代は6000円前後。同じペースで1年間使用すると、約7万2千円の電気代がかかる計算になるわけです。夜間の深夜電力を利用する電気温水器の場合、通常よりも電気代が安くなります。ただ、機種によっては昼間でも運転を行って電気を消費してしまうことがあるため、1カ月の電気代は機器の性能や使い方によっても変わってくるでしょう。
実際、電気温水器の消費電力は、機器の機能が高くなるほど大きくなる傾向があります。フルオートタイプなどのさまざまな機能がついている機種は、1時間当たりの消費電力が増えるケースが多く、電気代も上がります。自動運転を行うフルオートタイプの場合、そのまま機器を作動させておくだけでたくさんの電気を消費しているケースが少なくありません。手動で操作をコントロールできるセミオートタイプや給湯専用タイプは、このようなフルオートタイプよりは1カ月の電気代がいくぶん安くなることが多いです。”
電気温水器とエコキュートの違い
“電気温水器と同様に給湯に利用されているのが、エコキュートです。エコキュートも、深夜電力を使ってお湯を沸かしタンクにためて使用するタイプの給湯器です。ただ、お湯を沸かす仕組みが電気温水器とは少し違います。電気温水器はヒーターで水を暖めて水温を上げていきますが、エコキュートはエアコンと同じヒートポンプと呼ばれる技術を使ってお湯を作ります。ヒートポンプは、空気中の熱によってお湯を沸かす技術です。電気と空気の熱を一緒に使用するため、電気代が安くなるとしてエコキュートは話題になっています。
エコキュートを設置する場合、電気温水器よりも広いスペースが必要です。貯湯ユニットのみを使用する電気温水器と違って、エコキュートは室外機も合わせて設置しなければなりません。エコキュートは室外機のファンで外気を取り込んで熱を作る仕組みになっているため、基本的に屋外のスペースを確保する必要があります。また、機器を設置するときの費用もエコキュートは電気温水器よりも割高です。60万円から100万円前後の費用がかかることもあり、導入するときのコストが大きくなるのがエコキュートの特徴と言えるでしょう。
ただ、長期的なランニングコストが減らせるのはエコキュートのメリットです。エコキュートの電気代は電気温水器の3分の1程度になると言われており、長く使用するほど電気温水器よりもお得になる可能性があります。”
電力会社によっても電気代は異なる
“電気温水器を使用した場合の電気代は、契約する電力会社のプランによっても変わってきます。深夜電力を使用する電気温水器の場合、夜間の単価が安くなるプランを選ぶことで、電気代をだいぶ減らせます。例えば、オール電化向けプランや時間帯別プランなどは深夜電力がお得に利用できるプランです。このようなプランは、特定の時間帯の単価を高くする代わりに深夜の単価を低く設定しています。電気温水器を導入したら、このようなプランを用意する電力会社に変更することで、電気代を大幅に抑えることが可能です。実際、一般的なプランとオール電化向けプランとでは、深夜の電気料金の単価が50円ほど違う場合があります。
電気代を節約したいときには、太陽光発電システムを導入するのも1つの方法です。オール電化向けプランを契約している場合でも、電気温水器が昼間に自動運転などをしていると、電気代が高くなることが考えられます。設定を調節していない場合、予想外の機器の運転によって電気代が上がるケースもでてくるわけです。このような問題を防げるのが、太陽光発電システムです。太陽光発電システムは自宅で電気を作り、そのまま電力を利用できるのが特徴になっています。電気料金の単価が高い時間帯は太陽光発電システムの電気を使うようにすれば、電気料金を最大限に節約できます。
この場合、フルオートタイプの電気温水器が昼間に自動運転をしても電気代が極端に増えてしまう心配はありません。”
まとめ
“必要なときにすぐにお湯が使える電気温水器は便利な機器ですが、使い方によっては電気代が大幅に高くなってしまうこともあります。すでに電気温水器を使っている場合は、1カ月にどれくらいの電気代がかかっているのかを一度きちんと把握しておいたほうが良いでしょう。知らないうちに無駄な電気代を負担していることもあるため、利用しているプランの単価などをよく確認しておくのがベストです。もしも現状で余計な電気代が発生しているときには、何らかの対策を考えたほうが光熱費の無駄を減らせます。例えば、「電力会社やプランを変える」、「太陽光発電システムの導入をする」などの具体的な対策を検討してみるのも良い方法です。
電力会社のプランは、インターネットで簡単に比較ができるようになっています。各社のプランを詳しく調べてみると、自宅の電気の使用状況にピッタリのプランが見つかるかもしれません。太陽光発電システムの導入を考える場合は、業者のサイトで専門的な情報を得てみるのも1つのアプローチです。初期費用がどのくらいかかるかや以後のランニングコストは、太陽光発電システムを導入するときにぜひチェックしておきたい情報です。
太陽光発電システムは、電気温水器やエコキュートなどの深夜電力を使用する機器と一緒に利用することで、よりメリットが大きくなるケースもあります。専門業者からアドバイスを受ければ、家庭のニーズに合わせた選択がしやすくなります。”
他にも読まれている記事